はじめに
本記事の作成に至った経緯
今回は、ブログやアフィリエイトサイトを構築する際のレンタルサーバーの選び方についての記事を書こうと思います。
レンタルサーバーの比較サイトなどのスペック比較表を見ると、専門的な用語が多く、結局どう比較したら良いのか分からない記事が多いような気がします。
その結果、なんとなくセキュリティが高くて安心(できそう)やスペックが高くて動作が安定(してそう)という定性的な感覚でサービスを選ぶことになっているような気がします。
そういった方に向けて、最終的な判断の後押しができればと思いこのような記事を書いた次第です。
筆者の経歴と記事の信頼性
筆者の経歴として、レンタルサーバーのようなサービスを提供する仕事を5年ほど経験してます。
世の中のサーバーを利用する個人・企業、その使い方ごとに求められる機能など、どのような考え方でサービスが提供されているのかという観点から書いた記事なので、ある程度信頼度は高いと思います。
レンタルサーバーは安いプランで良い
「ブログやアフィリエイトサイト用のレンタルサーバーは安いプランでOK」というのが僕の意見です。
おすすめのサービスは?
本末転倒かもしれませんが、ぶっちゃけ色々な記事でも紹介されている有名なサービスであれば、どのサービスを利用しても問題ないと思います。
でも、ブログやアフィリエイトサイト構築に必要な機能がちゃんと揃っているかは押さえておくべきでは?マルチドメイン、Wordpressキッティング、バックアップ、SSLなど、、
あるに決まってるじゃん!ってことで
何故そのような状況なのかは後半で説明しますが、大抵の人はあまり気にする必要はありません。
あえて言うなら、人気のエックスサーバー とかロリポップ!あたりなら間違いない(大差ない)です。
どちらかというと、サービスを選択する際に気にする必要があるのは、サービスのプランでしょう。
レンタルサーバーのプランとは
レンタルサーバーには、その中にプランというものが存在します。
これは運営するサイト数や記事数に応じて選択する必要がある松竹梅みたいなものです。
しかし、大抵この松竹梅のプランは利用している途中で上位のプランに変更することが可能です。逆に、下位のプランには変更ができないことがあります。
すなわち、初めは安いプランから始めても問題ないと言えます。
ここまでをまとめると、以下となります。
- 有名なサービスであれば、どのサービスを利用しても問題ない
- プランは安いものから始めれば良い
※初めから高いプランを選択することで、多少価格的に優遇されることはありますが、ブログ自体が継続しないリスクやブログのあり方などが変化するリスクを考えると、私はスモールスタートでいいんじゃないかと思います。
おすすめのレンタルサーバー(プラン)
ここからは、何故そのように言えるのか理由を説明します。
特に理由が気にならない方は、この時点で、エックスサーバー (X10)とかロリポップ! (ライトプラン※)を契約しても良いと思います。
※ロリポップ!のライトプランはデータベースが1つだけというのがネックになる可能があります。データベースは一つでも、複数のサイトを運営することは可能ですが、ある程度本気で複数サイトを運営する予定であれば、ロリポップサーバー(スタンダード)にしても良いと思います。あとでプラン変更は可能ですが。。
何故どのサービスを利用しても問題ないのか
では、何故どのサービスを利用しても問題ないのか、その理由を説明したいと思います。
レンタルサーバーはコモディティ化している
ブログやアフィリエイトサイトに必要な機能なんてド基本な訳ですから、各社当たり前に提供できます。
もはや、レンタルサーバーはコモディティ化しているサービスなのです。
※コモディティ化とは:一般的な商品になり、機能などでは差別化できない商品分野になること
ですので、各社レンタルサーバーのサービスは、機能などでは差別化できない、どのサービスを利用しても消費者として求める機能は十分な状態(低価格)になっているということです。
各社どのようなサービス戦略をとっているのか
機能で差別化することができない各社は、ターゲット(積極的に自社のサービスを購入してもらいたい顧客)を絞ることで差別化を図っています。
似たようなサービスを提供する各社は、微妙にターゲットをずらして、狙った層のお客さんからは自社のサービスを選んでもらえるようにコストパフォーマンスを最適化しています。
すなわち、ターゲットから外れた使い方をするとコスパが悪くなってしまいます。
具体的なサービス戦略で見てみましょう(少し極端に説明します)
(例)エックスサーバー
どちらかというと、アフィリエイトサイトなどを複数運営していきたいプロ意識の強い方に向けたプランを押し出したサービスです。
小規模のサイト運営にはオーバースペックとなりコスパが悪いサービスとなります。
(例)ロリポップ!
小規模のサイト運営から始めたいステップ思考の方に向けたプランを押し出したサービス戦略に見えます。
複数サイトの運営にも耐えうるプランに切り替えたい際は、コスパが悪いもしくはプランがない場合があるかもしれません。
どのサービスも機能は十分かつ低価格である
結局のところ、有名サービスは競争関係にあるため、必要な機能(マルチドメイン、Wordpressキッティング、バックアップ、SSLなど)は具備されています。
ディスク容量や転送量などの数値的な部分には差があるように見えますが、プロモーション上のアピールであり、実際のところ普通にサイトを運営する場合、あまり気にする必要はありません。
また、実際のサーバーのパフォーマンスは運による部分も大きいのです。
(参考)スペックの差はどのように決まるのか
当然、高価なプランは高スペック、安価なプランは低スペックとなるわけですが、このスペックとはどのように決まるかをまず説明します。
多くの場合、レンタルサーバーの会社がプランごとにサーバーの機種を変えることはしません。運用効率が悪いからです。
では、どのようにスペックに違いを持たせるかというと、サーバーの収容率(一台のサーバーを何人の契約者で利用させるか)を変えるのです。
1台のサーバーを100人で利用する(図左)より、1台のサーバーを1000人で利用した方(図右)が一人当たりの利用料は安くすみますよね。
その代わり、1台のサーバーを1000人で利用(安いプラン)の方がサーバー障害(レスポンス遅延、サーバー落ち)が発生しやすくなります。
一方で、運によって実際のパフォーマンスにばらつきが発生することもあります。
※実際には仮想化技術を利用している場合がありますが、上記の図は概念として一台のサーバーに置き換え図示しています。多くの場合、レンタルサーバーは同一のOS上に異なるユーザーを収容するため、仮想サーバーであっても、メモリやCPUなどのリソースは競合します。細かい説明は割愛しますが、OSやサーバーリソースから分けて収容するサービスはVPSサーバーやクラウドサーバーと呼ばれます。
(参考)サーバーのパフォーマンスに作用する3要素
実際のサーバーのパフォーマンスは運による部分も大きいということの理由を解説したいと思います。
サーバーのパフォーマンスに作用する要素を大きく分けると3つあります。
- 要素1:サーバー自体のスペック、収容率
- 要素2:同じサーバーを使う他の契約者との組み合わせ
- 要素3:ネットワーク遅延(輻輳)
要素1は、先ほど解説しました収容率となります。より高価なプランを選択することで、確かにパフォーマンスが出やすい環境が提供されます。
一方で、要素2によって、思ったようなパフォーマンスが出ないことがあります。これは、同じサーバーに収容されたユーザーが超ヘビーユーザだった場合を指します。
ユーザ間で共用のサーバーリソースが消費されるため、ヘビーユーザが多い収容グループでは上記の図(左)のようにスペックを食い合っている状態が発生します。運が悪いと、ライトユーザーが多い下位のプランよりもパフォーマンスが出ないといったことが発生します。
ヘビーユーザへのプロモーションを積極的に行った結果、高価なプランにヘビーユーザが集中し、安いプランには控えめなユーザが集まり、安いプランの方がパフォーマンスが良いといったことも可能性としてはあり得るということです。
要素3としては、インターネットによる遅延です。
アクセスする側の環境やドメインの名前解決のルート(DNSサーバー)など、インターネットを経由するということは、レンタルサーバー提供側ではどうすることもできない(ユーザやネット環境に依存する)要素が多く関係します。
結論として、何が言いたいかというと、気にしても仕方がないし、まずは安いプランから始めて、パフォーマンスが悪いと感じれば都度環境を見直すのが良いということです。
ビジネス機会損失を防ぎたいという方へ
とはいえ、「実際にサービスごとに、信頼性やレスポンスが変わるのでは?」「アフィリエイトサイトでバーストトラフィック(アクセス集中)にも耐えうるようにしておきたい。」と思う方もいらっしゃると思います。
今回はあくまで、アフィリエイトサイトやブログ用のレンタルサーバーという観点でお話をさせていただきました。
ビジネス機会損失という観点でいうと、
サイトアフィリエイトやブログ(アドセンス広告)なら、サーバースペックを過度に気にする必要はない(コスパが悪い)というのが僕の意見です。
月間100万PVのサイトであっても瞬間に換算すると大したトラフィックではないですし、幸運にもバーストトラフィック(バズる)が来た場合に備えてオーバースペックなサーバーを用意しておくことは非効率であると考えます。
※ライブのチケットシステムやキャンペーンサイトのような、バーストトラフィックが来ることがほぼ確実なサイトの場合は気にする必要があるシステムに該当します。このようなサイトの場合は、オートスケールが可能なクラウドサービスを利用するのが主流です。ただ、クラウドサービスは更に割高なため、個人ブログやアフィリエイトサイトでの利用はおすすめしません。
有名なサービスの安価なプランで十分
結局のところ、レンタルサーバーの品質は価格差に現れます。一方で、その信頼性やレスポンス等に関しては、同じサービスであっても利用者ごとに違ってきてします。
今からブログやアフィリエイトサイトを構築する人にとって、どのサービスを利用するかどうかはあまり悩む必要はなく、有名なサービスの安価なプランもしくはスタンダードなプランから始めれば良いというのがレンタルサーバー提供者側に立った僕の意見です。
ちなみに、このブログはロリポップ!のスタンダードプランを利用しています。
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